エルディア人収容区でパラディ島へと宣戦を布告したヴィリー・タイバーを、次の瞬間に襲撃したエレン。
マーレ軍の上層部、各国の要人を巻き込み、鮮烈な開戦の口火を切りました。

今回は、この行為によりパラディ島が得られたもの、そして失ったものを考察してきたいと思います。

得られたもの

1、ジークの身柄
真のエルディア復権派として、パラディ島へと働きかけていたジーク。
しかしマーレに一足先に潜入していたエレンでさえ、ジークと実際に会った描写が無いことから、マーレの戦士達への監視は非常に厳しいものがあったのでしょう。
収容区襲撃の混乱の中で、やっとジークのパラディ島への脱出が可能になった。
マーレの監視に隙を作る為だったとすれば、この襲撃の必要性は理解できます。

2、パラディ島の兵団の退路を断つ
ジークの寿命があと一年に迫った時点でさえ、一枚岩とは到底言えなかったパラディ島。
あくまでも和平の道を探る派閥と、新生エルディア帝国として武力を以て生存を図る派閥に分かれていたようです。
それがエレンの行動により強制的にとは言え、一つの方向性に纏まったのは事実です。
世界を敵に回した今、もはや兵団に残された活路は始祖の巨人の力しかありません。

3、地ならしの発動
始祖の巨人を継承するエレンと、王族の巨人であるジークが揃うことで、壁に潜む幾千万の巨人で世界を踏み潰す地ならしの発動条件が整いました。
これは現時点では間違い無く、世界最強の兵器となります。 本当に地ならしを運用出来るのなら、時間を稼ぐには十分過ぎる力と言えるでしょう。

失ったもの

1、和平への道
アルミンが主張していたような、話し合いによる和平の道。
大陸の国家の反エルディア人感情、エルディア人の巨人化という能力を考えると、可能性は低かったでしょうが、襲撃前は僅かながらその道も閉ざされてはいなかったかも知れません。
ですが、エレンが世界各国の要人を殺害した今、全世界は間違い無くパラディ島の敵に回りました。
エレンとしては、あえて和平の道を完全に断つことで、兵団をジークの案に乗るしかない方向に誘導したかったのだと思います。

2、調査兵団員の生命
マーレ軍との衝突により、調査兵団もサシャを含む複数の団員を失いました。
自分の選択で、同期で長い間、共に戦ってきたサシャを失い、しかし自分の選択の結果である以上、泣くわけにはいかないエレンの心情は、あの笑いに出ていましたね。


纏めると今回パラディ島は、和平への道を捨て、戦える力を得る事を選択しました。
アルミンは『何も捨てることが出来ない人には何も変えることが出来ないだろう』と言っていましたが、これは進撃の巨人という作品を通して語られるテーマのように思います。

エレンが捨て、そして選んだものは、どのような結末を齎すのでしょうか。