進撃の巨人研究所 感想・考察 

進撃の巨人の感想や考察です。

カテゴリ: 進撃の巨人 考察

シガンシナ区決戦で、調査兵団は辛くもマーレの戦士達を退け、ウォール・マリアを奪還しました。
そして、そこから四年間の時間が経った訳ですが、ここでは現在判明、あるいは推測出来るパラディ島の変化を纏めていきたいと思います。

1、国という概念の定着
壁の中の人類は、壁内のみに人類が存在し、唯一の王のみが人類を統治するという世界観の中で生き続けていました。
ですが壁の外にも人類が普通に住んでいるとしり、ヒィズル国との接触を通して、国家という概念を知りました。

これはフロックの新生エルディア帝国という発言にも現れています。

パラディ島にとっての敵が意思の疎通が出来ない巨人から、人間へと変化するに当たり、一種のナショナリズムが芽生えているようですね。

2、技術の進歩
ヒィズル国や、義勇兵からの技術、兵器提供によりパラディ島の技術力も向上しているようです。
とは言え、まだ外部との接触を取り始めてから四年間。
まだ、ヒィズル国からの兵器の提供や、調査船に搭載されていた兵器の鹵獲に頼っているとは思いますが、銃器としてボルトアクションライフルを装備していたり、手榴弾のような武器を開発していたりと、軍事力の底上げは成されているようです。

3、兵団の改編
第107話でのピクシス司令の腕章などを見るに、まだ調査兵団、駐屯兵団、憲兵団、訓練兵団の四兵団編成という構造は変わっていないと思われます。
しかし壁内の巨人を排除したことで、壁に駐屯兵団を貼り付けておく必要性は無くなり、エルディア人収容区を襲撃した調査兵団にも、元駐屯兵団の兵士が参加していました。

ここから、調査兵団は主に対外戦闘を担当する兵団へと役割を変え、駐屯兵団の一部は壁の警備の重要性の低下に伴い調査兵団に編入、残りは防衛や憲兵団の補助的な役割を果たしているのでしょうか?
憲兵団は主な任務が治安維持なので、大きく形を変えずに存続していると思います。


今後の話では、現在のパラディ島について更に多くの事が語られることでしょう。




エルディア人収容区での戦いで、戦鎚の巨人が作り上げた長い柄を持つハンマーの威力は、エレンの両腕の硬質化ガードを軽く打ち抜き、進撃の巨人の頭を消し飛ばす程でした。
概算にはなりますが、角速度を用いてハンマーの威力を検証してみようと思います。

さて、高校物理では円運動における角速度ω=v/rで表されます。
r=回転半径
v=円周軌道上の速度

例えば、野球ボールを投げる運動を円運動と仮定した場合、成人男性の平均的な腕の長さr=0.74m
球速=100km/h=28m/sとすると

角速度ω=約38rad/sとなります。

これを人間が玉を投げる時の肩の角速度=ハンマーを振り下ろす時の角速度と仮定すると、戦鎚の巨人の右肩からハンマーの先端までの距離は恐らく23m程度なので

v=23×38=874m/s

ハンマーの先端は874m/sという結果になりました。

これは近代的な榴弾砲や高射砲の砲口初速に匹敵する速度です。
こんな速さで巨大なハンマーの先端が叩きつけられれば、流石にエレンの硬質化といえども、防ぎきれない筈ですね。




エルディア人収容区でパラディ島へと宣戦を布告したヴィリー・タイバーを、次の瞬間に襲撃したエレン。
マーレ軍の上層部、各国の要人を巻き込み、鮮烈な開戦の口火を切りました。

今回は、この行為によりパラディ島が得られたもの、そして失ったものを考察してきたいと思います。

得られたもの

1、ジークの身柄
真のエルディア復権派として、パラディ島へと働きかけていたジーク。
しかしマーレに一足先に潜入していたエレンでさえ、ジークと実際に会った描写が無いことから、マーレの戦士達への監視は非常に厳しいものがあったのでしょう。
収容区襲撃の混乱の中で、やっとジークのパラディ島への脱出が可能になった。
マーレの監視に隙を作る為だったとすれば、この襲撃の必要性は理解できます。

2、パラディ島の兵団の退路を断つ
ジークの寿命があと一年に迫った時点でさえ、一枚岩とは到底言えなかったパラディ島。
あくまでも和平の道を探る派閥と、新生エルディア帝国として武力を以て生存を図る派閥に分かれていたようです。
それがエレンの行動により強制的にとは言え、一つの方向性に纏まったのは事実です。
世界を敵に回した今、もはや兵団に残された活路は始祖の巨人の力しかありません。

3、地ならしの発動
始祖の巨人を継承するエレンと、王族の巨人であるジークが揃うことで、壁に潜む幾千万の巨人で世界を踏み潰す地ならしの発動条件が整いました。
これは現時点では間違い無く、世界最強の兵器となります。 本当に地ならしを運用出来るのなら、時間を稼ぐには十分過ぎる力と言えるでしょう。

失ったもの

1、和平への道
アルミンが主張していたような、話し合いによる和平の道。
大陸の国家の反エルディア人感情、エルディア人の巨人化という能力を考えると、可能性は低かったでしょうが、襲撃前は僅かながらその道も閉ざされてはいなかったかも知れません。
ですが、エレンが世界各国の要人を殺害した今、全世界は間違い無くパラディ島の敵に回りました。
エレンとしては、あえて和平の道を完全に断つことで、兵団をジークの案に乗るしかない方向に誘導したかったのだと思います。

2、調査兵団員の生命
マーレ軍との衝突により、調査兵団もサシャを含む複数の団員を失いました。
自分の選択で、同期で長い間、共に戦ってきたサシャを失い、しかし自分の選択の結果である以上、泣くわけにはいかないエレンの心情は、あの笑いに出ていましたね。


纏めると今回パラディ島は、和平への道を捨て、戦える力を得る事を選択しました。
アルミンは『何も捨てることが出来ない人には何も変えることが出来ないだろう』と言っていましたが、これは進撃の巨人という作品を通して語られるテーマのように思います。

エレンが捨て、そして選んだものは、どのような結末を齎すのでしょうか。

エレンの同期でもある、コニー・スプリンガーの故郷ラガコ村。
ウォール・ローゼ内に突如として出現した巨人達は、巨人化させられたラガコ村の住民達でした。
彼らが元となった無垢の巨人達はジークの命令を聞いていたことから、ジークの脳脊髄液から生成した薬品により巨人化したことは間違いないでしょう。

しかしここで謎が残るのは、ジークがどのように村民達に脳脊髄液を摂取させたか
今回は、その顛末について推測していきたいと思います。

可能性1:ジークに脅され、村民達が自分で薬品を注射した。

これは薬品を摂取させる手段が、現在描写されている注射によるものだと仮定した場合です。
一番手っ取り早いのは、ジークが村人達を脅し、巨人化薬を自主的に注射させること。
勿論、打てば巨人化すると知っていれば躊躇うでしょうが、それを伏せた上で、巨人化したジークが脅せば、可能ではあると思います。

ただ問題点も……。
ラガコ村には、人が殺傷され血を流したような痕跡が一切ありませんでした。
ということは、村人全員が抵抗することも出来ずに巨人になったということ。 ジークが脅しても、やはり一人二人は逃げようとする村人も出るでしょうし、その場合ジークは情報漏えいを防ぐために逃走者を排除しようとするでしょう。 だとすれば、この手段では無血での村人全員の巨人化は難しそうです


可能性2:ジークとピークが夜にこっそり忍び込み、寝ている村民に注射を打った。

これは流石に無いでしょう。
そもそもいくら眠っているとはいえ、針で刺されれば当然目を覚ますでしょう。
騒ぎを起こさずに村人全員に注射をすることは、流石に無理ですね。

可能性3:睡眠薬を村民に飲ませ、一時的に村民の意識を奪い、その間に注射した。

井戸水や食料に睡眠薬を混ぜ、昏睡している村民に巨人化薬を注射したという可能性です。
単純に忍び込むよりは可能性がありそうですが、これも難しそうです
そもそも睡眠薬は、効果が人によってまちまちですし、確実に村民全員が摂取する可能性は低いでしょう。
もし対象が数人程度の集団ならば、やる価値はある作戦かも知れませんが、少なくとも数十人規模の村を相手にするには確実性に欠けると思います。

可能性4:巨人化薬そのものを飲料水に混入。 村民全員が摂取した頃を見計らってジークが巨人化させた。

巨人化薬は空気に触れると気化するそうですが、水の中ではどうなるかは語られていません。
マーレから持ち込んだ大量の巨人化薬を井戸水に混入させたとすれば、一日二日あれば確実に村人全員に巨人化薬を摂取させることができるでしょう。 
自分の脳脊髄液を摂取した相手を任意のタイミングで巨人化させることが出来るジークなら、無血で村人全員を巨人化させることも可能です。
問題は、巨人化薬を摂取した場合、自覚症状があるのかないのか。

大陸編でのスラバ要塞攻略戦で、飛行船から投下されたユミルの民達は、意識が朦朧としている様子でした。
あれが巨人化薬の作用によるものならば、流石にラガコ村の住民も初期の段階で飲料水に何か有害な物質が入っていると気が付くでしょう。
ですが、巨人化薬自体には自覚できる作用は無く、飛行船のユミルの民は、抵抗を封じる為に麻酔薬のようなものを打たれ意識が朦朧としているならば、この仮説は成り立ちます。

ですが飲料水に混ぜ、それを経口摂取させるだけで巨人化の条件を満たせるなら、とてつもない脅威ですね。
ジークがその気になれば、更に大規模な事態を発生させることも出来たということですから。


今回書く三つの巨人に関しては、まだ情報が不十分な部分があります。
今判明している事実を元に、それぞれの巨人の能力を推測していこうと思います。

7)自由を求めて戦い続ける"進撃の巨人"
所有者:エレン・クルーガー⇒グリシャ・イェーガー⇒エレン・イェーガー
クルーガー曰く、"いついかなる時代においても自由を求めて戦った"巨人。
始祖の巨人を打ち破り、パラディ島の未来を切り開いた巨人でもあります。 クルーガーからグリシャ、そしてエレンへと継承され、所有者は血塗れになりながらも、自由の為に進み続けています。

長所

☆高い格闘力
所有者の体術を生かすためには、出来るだけ巨人の姿が人間に近く、尚且つ大きい方が有利です。
その観点から見ると、純粋な肉弾戦ならば女型や鎧と並んで高い能力を発揮できます。
硬質化能力も考慮に入れると、進撃の不利は免れないでしょうが……。

☆始祖の能力を受け付けない?
グリシャがフリーダ・レイスから始祖の巨人を奪った際、フリーダはユミルの民を操る始祖の巨人の能力を使いませんでした。
単にフリーダが戦闘になれておらず、咄嗟に力を使えなかった可能生もありますが、もしかすると始祖の干渉を受けないということが進撃の巨人の能力なのかもしれません。
だとすれば、かつてエルディアの王がマーレ人に始祖と戦鎚以外の巨人を掌握させようとした際に、進撃だけが逃げ延びていたことも説明できます。 
とは言え、この特性は知性巨人全般に言えることかも知れないので一概には断定出来ませんが……。

短所

★硬質化は使えない

ロッド・レイスの鞄の中にある鎧とラベルされた液体を飲むまで、エレンは硬質化を使えませんでした。
進撃の巨人は知性を持つこと以外は、普通の十五メートル級と大差ない戦闘能力しか持たないと言えそうです。


8)変幻自在"戦鎚の巨人"
所有者:ヴィリー・タイバーの妹⇒エレン・イェーガー
エルディア人収容区での戦いにおいて、圧倒的な戦闘力でエレンを追い詰めた巨人。
マーレにおいて救世主としての名誉と待遇を欲しいままにしていたタイバー家が代々引き継いできました。
タイバー家は、マーレに味方し王家に反旗を翻した英雄などでは無いという、歴史の真実を知った当主の葛藤は並々ならぬものがあったようです。 

長所

☆硬質化の圧倒的応用力

巨大なハンマーやボウガン等の武器形成、遠隔操作可能な巨人の生成、地形を変化させることによるエレンの動きの阻害など、他の巨人が自分の肉体しか硬質化させることが出来ないのに対し、戦鎚は土や岩などを硬質化物質にして操ることが出来、その応用性も抜群です。 少なくとも鋼鉄以上の硬度を誇る超硬質スチールでさえものともしない程の硬度を持つ硬質化物質。
他の巨人は戦闘においては、肉体を覆う程度の使い方しか出来ませんが、戦鎚は知識次第でいかなる武器も作ることが可能です。 これがどれほどのアドバンテージを生み出すかは計りしれません。
メリケンサックVS日本刀、ボウガン、ハンマーetc. 調査兵団の援護無しでは、エレンは負けていた可能生が高いでしょう。

短所

★自身は巨人化出来ない?

これはあくまでも推測になりますが、ヴィリーの妹は殻の中から硬質化能力で巨人を作るだけで、自身が巨人化している描写はありませんでした。 もしかしたら戦鎚の巨人単体では、自身を巨人化することが出来ないという弱点があるのかも知れません。 もしそうなら、遠隔操作の巨人を沈黙させる方法を察知されてしまえば、かなり不利な戦いになってしまいますね。


9)未だ謎の多い"始祖の巨人"
所有者:ウーリ・レイス⇒フリーダ・レイス⇒グリシャ・イェーガー⇒エレン・イェーガー
145代フリッツ王がかけた不戦の契りと共に、パラディ島内の王族に密かに受け継がれてきた巨人。
ユミルの民の存続を望むグリシャにより剥奪され、息子エレンへと受け継がれました。
ロッド・レイス曰く、『全ての巨人の頂点に立つ存在』、『無敵の力を持つ巨人』。

その能力はまだ殆ど明らかになっていませんが、考察を交えて纏めていきたいと思います。

長所

☆ユミルの民の心に影響を与える能力

かつて大陸から145代フリッツ王と共にパラディ島へと逃れたユミルの民は、外の世界の記憶を奪われ、壁の外の人類は滅んだと思い込まされてきました。
またケニー・アッカーマンに襲撃された際、ロッド・レイスはウーリに始祖の能力で情報を喋らせるようにと言っています。
少なくとも、記憶の消去、行動の強制は確実に出来るようです。 効果範囲などはまだ不明ですが、王としてこれほど都合のいい力もないでしょう。

☆無垢の巨人の操作
他の知性巨人の場合も、所有者が王族ならば、自分の脳脊髄液を注入されて巨人化した無垢の巨人ならば制御は出来るようです(王族+獣の巨人の特殊能力の可能性もありますが)。
しかし始祖の巨人は、そんな条件に関わらず、全ての無垢の巨人に影響を及ぼし、複雑な動作さえ取らせることが可能であると示唆されています。
壁の巨人を解き放つ、地ならしを発動させることが出来る能力でもあり、使い方によっては世界を滅ぼせる力と言えるでしょう。

☆複合能力
エレンはロッド・レイスの鞄から取り出した鎧とラベルされた液体を飲むことで硬質化能力を使えるようになりました。 そこから、始祖の巨人は他の知性巨人の体液(脳脊髄液?)を取り込むことで、彼らの能力を使用できるようになるとも考えられます(わざわざレイス家の方で保存していた薬品なので、始祖の巨人の継承者による使用を想定していたものでしょう)。
エレンが王族では無い為か、鎧のように全身を硬化出来るようにはなっていませんが、もし所有者が王族の血を引いていれば、他の八つの巨人の能力を完全に扱えるようになるのかも知れません。

短所

★不戦の契り

短所はこれに尽きます。
上記の能力の内、複合能力以外を扱うには所有者が王族であることが必要不可欠ですが、その場合145代フリッツ王の思想に支配され、いずれ来る滅びを受け入れることしか出来なくなります。
もしかしたら不戦の契りを解除する方法があるのかも知れませんが、現時点ではその存在は示唆されていません。 ただ、王族では無い始祖の巨人の継承者も、王族の巨人と接触することで、始祖の能力が扱えるようになる様です。 現在ジークがマーレから離反し、パラディ島内へと滞在していますが、今後はどのような展開になるのでしょうか。



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